通常あまり知ることの出来ないコスプレ制作の工程を説明いたします。

1.製作画像の確認とデザイン制作

コスプレ衣装ですので、一見デザインは不要そうに見えます。しかしながら、コスプレ衣装製作用のデザイン製作が必要になります。

何故その作業が必要なのかというと、次のような制作上の仕様を具体化する必要があるためです。

  • ギャザーの幅は何センチにするのか?
  • スカートの丈は何センチになるのか?
  • 生地はどうするのか?
  • 見えない部分はどのように製作するのか?

では、実際に製作の元となる画像をみてみましょう。

この画像からでは、段々になっている部分が何センチなのか分かりません。生地は何を使用しているのでしょうか? 後ろはどうなってるのでしょうか?

そこで、デザイナーがこれらの情報をまとめたデザイン画を作成します。

こちらの画像にはベトナム語が記載されています。これは当社工場がベトナムにあるためです。

こうして、製作に必要な基本情報が揃いました。

2.パターンの製作

パターンは、衣装制作における設計図です。型紙などとも呼ばれるものです。

パターン制作は、パタンナーと呼ばれる専門職の方が行います。

一般にパタンナーは、CADなどのコンピューターを使うものと紙を使うもので分かれます。

CADによる制作の場合、一度制作を行うとサイズ展開が容易などの利便性があります。

紙による制作の場合、速度が速いというメリットがあります。

 

Q.パターンの制作はどれくらいかかるんですか?

A.簡単なもので数時間(ベストなど)、複雑なもの(ドレス等)ですと2日程かかります。

Q.パターンの制作で困ることはありますか?

A.デザインがよくわからないもの、複雑なものに関してはデザイナーと細かな打ち合わせが必要となります。

3.トワレの製作

パターンが出来上がると、トワレを製作します。トワレは、実際にパターンを組み合わせたときにしっかりとした形になるかを確認するための作業です。

当社の場合、トワレの作成でもここまでしっかりと作ります。

ここでチェックを行い、問題が無ければ次の工程に進みます。

4.材料の買い付け、生地の制作

実際に材料の買い付けはパターンの製作中であったり、制作後であったりと順番が変わる場合もあります。

これは、一度の買い付けで全てを済ませたいためにスケジュールを組むためです。ベトナムでの衣装製作で一番苦労するのはこの材料の買い付けかもしれません。

ベトナムでは日本のオカダヤ、ユザワヤのようにワンストップで全てが手に入る店舗はありません。また、ネットでの生地販売というのもそれほど進んでいません。結果的に、生地の市場に買い付けに行くことになります。

市場では、昔の商店街のように小さな店舗がずらりと並んでいます。まったく整理整頓がされているとは言えないカオスな空間が広がっています。

日本と比べると生地の種類は1/3程ですし、センチ単位での購入も不可です。さらに何がどこにあるかは経験がないとわからないという状況ですので、よほど現地を熟知していなければ何も出来ません。

特にアニメ、ゲーム系、アーティストライブ系などではかなり奇抜な生地が用いられます。これの入手は仮に日本であったとしても不可能です。例えばこちらの衣装のヤシの木柄の生地が売っているとは到底考えられません。

このような場合、生地のデザインと生地印刷を行います。生地のデザインは専門のソフトウェアを用いて行います。

これを専門の生地印刷業者に持ち込み、実際に生地の制作を行います。

これが実際に生地印刷で制作された生地となります。

さらにこちらの生地を用いて衣装を作ります。

 

制作結果はこのようになりました。

5.生地のカッティング

制作したパターンを元にして生地のカッティングを行います。

大きな工場などではCADから専用のカッティングプロッターを使用して行うのですが、オーダーメイド衣装製作の場合はそのような大掛かりな機械を用いることはありません。

厳密には、カッティングの前に生地のアイロニングを行いますが、そちらの紹介動画は割愛いたしました。

紹介動画を見て分かる通り、カッティングは2.パターンの製作で紹介したパターンを用います。

こうして、プラモデルのようにパーツごとに制作を行い、最終的な縫製に進んでいきます。

 

6.縫製1

縫製1としましたが、実際にこちらでは縫製を行っていません。

このあたりがまさにコスプレ衣装制作での知恵といいますが、コスプレ衣装の制作は現実の衣装製作と大きく異なる点が幾つかあります。

その最たるものが、非現実的な衣装であるため、通常の衣装製作の手段では製作しようが無いものが多数あります。

これらをそれっぽいものに作っていくためには通常の制作と同様の発想では不可能です。

さて、それが分かる画像はこちらです。

実際制作を行っているパーツですが、この背中の浮いている部分、現実的にどうやって再現すればよいでしょうか?

答えは、ところどころメッシュ素材で繋ぎを作ります。

 

 

このような製作は量産品ではまず発生しません。

また、一般に縫製を専門に行う方はこのような作業は行いません。

コスプレ衣装製作でのみ存在する風景だといえます。

7.縫製2

さて、ここでいよいよ本格的な縫製に入ってきます。

コスプレ衣装の縫製は通常の衣装と異なり、奇抜な形や思いもよらぬ構造のものが多数あるため、熟練者でなければ対応は難しいものです。

8.造型制作

コスプレだからこそ避けては通れないのが造型制作です。

造型の特徴を非常にシンプルに説明するなら、3次元的な構造を持ち、形がそのとおりに固定されるものではないかと思います。これと比較しますと衣装は平面的です。また、形の固定という点に関しては生地の特性上限界があります。そのため、甲冑等の製作は衣装製作のノウハウは通用しません。

さて、造型も様々ありますが幾つか紹介します。

レジン造型

こちらは、レジンを用いてボタンを製作したものです。

原型となる形を何らかの素材で製作しシリコンで型を取ります。ここにレジンの液剤を流し込んで制作をします。

ワーブラ造型

こちらは大剣です。強度の高いワーブラを用い、重厚感のある大剣を作りました。

マスク制作

マスク制作にも幾つか方法がありますが、ここでは紙粘土とレジンを用いています。

下記は色塗り前のものです。

 

最後に

当社製作品はこれらの工程を全て、抜けなく行っています。

その結果、お届けする衣装には常に絶対的な自信を持っておりますし、仕上がりの衣装はコスプレ衣装の域を越えたものになります。

是非、お客様にご満足頂ける衣装をお届け出来るように。